Save Don Miller Project

ドン・ミラーのページをご覧なっている皆様へ

JA1AEA 鈴木 肇
FEDXF C.O.B .
*C.O.B.:Chairman of the Board(理事長)


このページをご覧になっている方の中にも、今迄のドン・ミラーについての情報は不確かなものばかりが極めて断片的にしか伝えられて来なかったなため、『妻殺しの容疑で刑務所に入れられている、元DXサーの医者』くらいの知識しか持ち合わせて居ない方も多いと思います。 いい加減な情報のなかでも秀逸は、ドンの刑期を30年と言ったり、無期と書いていたりしているものです。 仮にこれが本当で、ドンが無期や30年の刑だったらどんなに良かった事でしょう。 もしそうならドンはとっくにシャバに出られているからです。
そこでこのページを借りて事件の内容が良く理解出来るように、ドンに何が起こったのか又何が起こりつつあるのか、と言う事からその概略を書いていく事にします。


 Dr. Miller と言う人


今更改めてこんなところで書くまでもなく、ドン・ミラーと言えば60年代のDXCCのカントリーリスト(ドンが引っ掻き回した事が契機になって、当時のカントリーは今ではエンティティーなどと呼ばれる様になっています)を塗り替えた、有名なカントリー屋さんです。 別名DX-Pedition屋とも言います。
当時ドン・ミラーと言えば、世界中のDXカントリー屋さんの憧れの的みたいなもので、彼が現れる先々ではまるでDXおじさん連中のアイドル騒ぎです。
65年当時のカリフォルニアで、ドンがやったDX-pedition のQSLにその場でサインしてもらう為に、おじさん達が目の色を変えていたのを呆れて見ていた事が思い出されます。 どうして私がその場に居合わせていたのかと言えば、丁度そのころ3日ほどドンの所で寝泊まりしていて、この間はいつもドンとは一緒のところにいたからです。 こんな事からの影響もあって、私のDXカントリー屋さんに対する見方が、斜めに見る様に出来上がってしまったのかも知れません。 若い頃に請けた影響と言うものは恐ろしいものです。

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さて、ドンの本名は Donald Alan Miller と言います。 …ドナルド アラン ミラー、果してこの本名さえも、フルネームで今迄にどれだけの人間が知って居た事やら…。
職業は外科医で、60年の初め頃には在韓米軍の烏山空軍基地に軍医大尉として駐留して居た頃には、HL9KHのコールでアクティブに出ていたものです。
ドンとはこの韓国駐留以来からの古い付き合いですから、もう40年になる事になります。 しかし最後にDr. Millerにパームスプリングスで会ったのでさえもう23年も前の事です。 その時は刑は決まっていたものの、執行猶予の期間中で係争中だったのだそうです。 しかし診療所の経営も順調だったし、判決が覆されて無罪になる事を疑いもしていなかったので、ホテルで写真を撮ったときなどは『カリフォルニアの刑務所はこんなに素晴らしい所なのだと、日本のハムに伝えろ』などと冗談を言っていたものです。 しかし執行猶予期限が切れるまでに無罪は勝ち取れず、結局は州刑務所に収監されてしまいました。 ですから40年の付き合いなどと言ったところで、その後のムショ暮らしが始まってからのここ20年間は、とても付き合いと言えるようなものではありませんから、この40年は相当割引して見てもらわなければなりません。
とはいえDX-pedで騒がれていた当時に、CQ誌上などでオレがドンの親友でアル、などと言いふらしていた連中は、皆私を通じて繋がりが出来た連中です。 その一例が先日(2000年夏頃)のCQのDX欄に出ていたドンの写真です。あれはドンが初めて東京にやって来た時に、当時赤坂に在った山王ホテルで私とドンとが一緒に居るところを撮られたものでした。 あの写真には出ていませんでしたが、あの隣には私が坐っていたのですから忘れる筈は有りません。


事件の概容



さてドンがぶち込まれる原因となった罪状です。 それはドンの細君がカルト(オウムみたいなものです)に狂ってしまい、ドンとは離婚して当時5歳だった息子を連れて教団の施設に入ると言い出した事に始まります。 ドンは息子を溺愛していましたから、息子だけは手元に置いて養育し、まともな教育も受けさせてやりたかったのです。 もちろん細君はこれに真っ向から反対なのですから、大喧嘩です。 結局細君は離婚には同意したものの、あくまでも息子をつれてカルト集団に行くと言い張り続けたため、ドサクサ騒ぎになったと言う訳です。 このドンが息子を取り戻すために起こしたドサクサと喧嘩騒ぎのさ中、今度は診療所の掃除人夫がドンにカミさん殺害をそそのかし、それを断られたのをきっかけに始められた地方検察官による、ほとんど罠に近いおとり捜査によって、でっち上げられた罪状とも言えるものなのです。

発端はカミさん殺害を断られた掃除人夫が、このネタを金にしようと警察に、『ドンはカミさんを殺そうとしている』とタレこんだのを機会に、今度は地方検事が動き出した事から始まります。
この話しを聞きつけた地方検事は、すぐさま手下の刑事を殺し屋に仕立て上げて、掃除人夫を通じてドンに近づき、殺し屋刑事がテープレコーダーを仕込んでドンを呼び出し、なんだかんだと言いながらドンに『カミさんを殺したい』
と口走らせるのを誘導し、そこまでの会話をテープに収めたところで、ハイそれまで。 御用!…と言う段取りで、ドンは即その場で逮捕です。
もちろん、ドンは『殺しを頼む』などと口走ったことは直ぐに取り消したのですが、これが捜査官側のテープに残っていなければ『殺しを頼む』までの会話しか無いのですから、これだけで立派な殺人依頼の証拠になると言う訳です。
容疑は"Conspiracy of Murder"。 無理に訳せば、殺人陰謀罪とでも言いましょうか。
この一部始終を記録した裁判の膨大な記録は、今の奥さんの家のガレージに保管されています。 その中からカリフォルニア州保釈審査会に提出されている書類を奥さんの家で見せてもらい、その全部に目を通してきましたが、記録に書かれている事件展開はまるでB級ハリウッド映画もどきで、信じられないくらいのものです。
どんな温厚な人にも、長い人生の内には一度くらいは、『あのヤローぶっ殺してやる』などと口走る事が有るものです。 これをタイミング良く刑事に録音されただけで『御用!』と来られたのでは、私如きは今迄に終身刑どころか10回くらい死刑になっていても間に合いません。 アメリカに住んでいなくて良かった、と思うのはこんな時かも知れません。

ここではっきりさせておかなければならない事は、ドンは細君を殺しもしなければ傷つけてもいないと言う事実と、一説に言われている様に自分の診療所に放火して保険金詐欺を働いたなどと言う事実も無いと言うことです。 誰が流したものか、これはまったくのデタラメなのです。
ドンの元の細君は別の男性と再婚して、現在はミネソタで幸福に暮らしています。 つまり、ドンの事件は保険金詐欺でもなければ、殺人未遂にすら該当しない筋のものなのです。
しかし、保険金詐欺や殺人より重い刑罰がアメリカには有るのです。 それがこの聞き慣れない殺人陰謀と言う罪に科せられるものです。 この殺人陰謀が尊属の殺人であった場合には、なんと最低で25年から最高が終身刑と言う、とてつもなく重いものなのです。
加えてこの刑が宣告された者には、ぶち込まれて25年経つまで仮保釈の申請さえも出来ないと言う厳しさです。

アメリカでは陪審員が有罪・無罪を決めるのですが、無罪を主張していた陪審員2名までも検察側が入れ替えてしまった事から、無罪を主張していたドンにはなす術も無く陪審員全員で有罪評決され、ついで裁判官から終身刑の判決です。 これにはアメリカの法曹制度と、深い関係が有るものと思われます。
カリフォルニアでは、地方検事も日本と違って住民による投票で決まりますから、市長や地方議員などと同じく何か自分の業績を誇る事が必要なのです。
選ばれるのが検事の場合には、何かデカイ事件を扱って華々しくマスコミに取り上げられるようにすれば、次の選挙もこれで安泰と言う構図です。
ドンの様に事件の主人公がその地方では有名な外科医で、そいつが細君を殺そうとしたが、正義の味方の敏腕地方検事がそんな大悪党の医者を血祭りに挙げた…となれば、これをマスコミがどう取り扱い、選挙結果もどうなるかは言うまでもない事でしょう。
これがドン・ミラー事件の概容です。


事件当時の社会的背景




記録を読んだり、今の細君や直接ドン本人から事情を聞くにつれ、事実は殆ど西部劇のリンチみたいなもんだ、と思えて来ます。 なぜこれが西部劇なのかは、この事件が起こった当時の地域社会の背景を、先ず理解しなければ判りません。 言いかえれば、ドンが診療所を開いていたパームスプリングス地方の社会の背景と、事件が密接に関係している事を知る事無しには、理解出来ない事が多いからです。

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ドンの息子が小学校に行く歳になったとき、パームスプリングス付近の小学校の教育制度は余りにも程度が悪かったのだそうです。
そこでドンが教育委員に立候補し、(アッチでは教育委員は公選です)目出度く教育委員に当選したまでは良かったのですが、ドンの言葉を借りれば、…(おまえも俺のやり方知ってるだろ。 俺はなんでも一生懸命やり過ぎる傾向が有るんだよなぁ)…で表現される様に、今迄チンタラやっていた名前だけの教育委員の取り替えを過激に進めたのだそうです。 つまりドンは地域の教育制度の改革に手を付けただけでなく、それをやってのけたのです。
アメリカの教育委員会はその地方によっても少しは違いますが、先生をいびるだけのPTAの延長みたいな日本の組織と違って、カリキュラムから先生の入れ替えに至るまで、教育に関してはその地域で絶大な権力を持っているものです。
もちろん、いずこも同じで、そんな委員におさまっているのは地方のボスです。 こんな人達は大体がそこの土地の金持ちか権力者と決まっていますから、教育に関しても前例の踏襲の延長で、名誉職として何となく委員をやっていると言う様な人が多かったのだそうです。
アメリカで地方のボスとくると、お馴染み西部劇に出てくる様な農場主や牧場主、或はナントカの経営者と相場が決まっていますから、ヨソ者がそんな連中にタテをつく事にでもなれば、どうなるか。 これも西部劇では毎度お馴染みのストーリーです。 このお馴染みのコースに乗っかってしまったのが、ドン・ミラーと言う名のヨソ者の医者だったのです。
ドンはコールサインW9WNVからもお分かりの様に、いくらそこで成功した医者になっていたとはいえ、地付きの者から見ればその土地ではヨソ者である事に違いは有りません。

もう一つのこの地方を牛耳る権力構造が、(日本でも同じですが)地方医師会です。
ドンはやり手で、馬鹿みたいに働いていたので最盛期…つまりムショにブチ込まれる直前…には診療所を3つ持ち、次には病院を建設しようかというところまでいっていて、その用地まで確保していたほどに成功した医者でした。
…と言う事は、今迄いい思いをしていた近郷近在の医者連中は、当然患者を取られてしまうので冷や飯を食う羽目になる訳です。 ドンはこの連中からも、ねたみが嵩じた恨みを買ってしまったと言う訳です。

この様な権力を握る二つの勢力は、当然ご当地の地方検事、警察署長や市長(みんな住民の選挙で選ばれます)選挙のときには、当然この連中が有力な後援団体になる事になります。
この様なアメリカの社会構造の背景を考えること無しに、上っ面のゴシップだけでドン・ミラー事件を理解しようとしても無理だと言う事が、これでもうお分かりになるでしょう。


FEDXF



現在ドンは仮保釈の申請をしており、この手続きをする為の弁護士がどうしても必要なのです。 これまでドンには仮保釈の申請さえ許されていなかったのですが、昨年の夏からようやく申請ができる様になったからです。
ところが過去20年にわたって獄中から冤罪を訴え、一貫して裁判で無罪を主張してきたため、ドンはこれらの裁判にからんだ弁護士費用に全財産を使い果してしまい、これからの仮保釈の手続きに必要な弁護士費用も捻出できない状態なのです。

こんな状態の彼を刑務所の外から何とか援助してやる為に、この度アメリカでFar East DX Foundation (FEDXF)と言う非営利団体を立ち上げました。
この団体ですが、運営面ではSecretary General (Director of the Board) に
はKH6JA の相馬 泉さんが、会計も担当する役員となっています。 現在私のほかにBoard Member (理事)として3人の方に協力して戴いております。 
この5人がそれぞれ$5,000ドルづつ資金を持ち寄って、この団体を発足させたのです。 現在登記手続きを進めると共に、この非営利団体に対する寄付金の非課税措置を、IRS(連邦国税局)に申請中です。

ドンには現在仮保釈を受け持つ弁護士のほかに、以前から冤罪を晴らす為に付いている2人の弁護士が居ます。 この弁護士にかかる諸費用をこのFEDXFが責任を持って受け持ってやろうと言う訳です。
塀の中に居る人間は、それだけでも弱い立場なのです。 だから場合によっては、悪徳弁護士の言いなり放題で金が吸い取れる良いカモにもなる訳です。
過去にあったドンの全財産(相当なものです)はこの20年間に入れ替わり立ち代わりした弁護士に、食い物にされてしまったものだと思われます。 ただし今迄の弁護士も今の弁護士についても、ドン自身はそう言ってはおりませんでしたが…。 おまけにこれからあらたに弁護士費用の資金を稼ごうとしても、刑務所の中に働き口が有る訳も無いのですから、ドンには所持金の有る訳も有りません。

ですから、ドンを支援するFEDXFにとってこの二人の弁護士の首実検がどうしても必要になります。 このため私か事務局長の相馬さんが(或いは二人で)
一月中にアメリカに出かけて行ってこれらの弁護士に会い、これからどんな具体的な戦略をもって法律の手続きを取って行くのか、聞いてくるつもりです。 もしこの連中が無能ならば、費用などは勿論払うつもりも有りません。 他の弁護士を当るつもりです。 或は、成功報酬のみで働く有能な弁護士を探し出して頼み込むのも一つの選択と考えております。 そうすれば余計な出費が殆ど節約出来るからです。 こう言えるのも、こちらは塀の外側に居るからです。 ドンの置かれている立場とは違って、こちらには何の負い目も無いのですから、なんとでも弁護士に言える訳です。


ドンの仮保釈に援助を


ドンは遠慮がちな人ですので、昨年の11月に会ったときもなかなか希望を言ってくれなかったのですが、我々はただハム仲間に会いに刑務所へ面会に来ているわけではなく、1日も早く保釈されるよう支援する為に来ているのだから、具体的に何をして欲しいのか言ってくれなければわからない、と私が言ったのでようやく具体的な話しを始めてくれたのです。
重い口から明らかになった事は、今回の保釈審理の弁護士等の費用に着手金として2万5千ドルが必要なだと言うのです。 言うも言ったり2万5千ドルとはこれまた結構な金額ですが、弁護士費用はいずこでも安くは有りません。
それで驚いていては始まりませんから、我々の団体としてはこの先の費用も考え、一応10万ドルを目標に一口500ドルの寄付(何口でも良い)を皆さんにお願いしようと言う計画です。
この目標金額を見て驚いてはいけません。 これはあくまでも目標なのですから、どなたでもこんな金額にかかわり無く、御寄付願えるものならいくらでも結構なのです。 今はとにかく弁護士の費用を集める事が先決なのですから。

これらの有志からの寄付金はドン・ミラーの直接必要経費と弁護関連費用に限ってしか使われませんから、この基金は私やその他の役員の交通費、宿泊費や雑費などには一切使われる事もありません。 当然、役員は無報酬の手弁当で活動です。
寄付された資金の使途については理事会の承認を必要とし、適当な期間毎に担当役員から会計監査報告が有ります。
現在検討中ですが、10口以上の寄付を戴いた方はCouncilor Board Member (評議員・準理事扱い)となって頂く事になると思います。
送金先については準備が整い次第、このHPのドン・ミラーのぺージなどでお知らせする予定ですが、これに付いては皆様からの送金の便宜を図る為に、日本に有る銀行に口座を開設する予定です。 また、有志会員の皆様には電子メールで逐次活動状況報告をする手筈を取っています。
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FEDXFは皆様からのご支援を賜るために、インターネットなどを使いながら出来るだけ多くの人にドーネーションに参加して頂き、ドン・ミラーを一日も早く現在の境遇から救い出したいと考えております。 
現在の我々にとって取るべき方針は、とにかくドンを刑務所から仮保釈させる事を最優先とし、当面は冤罪を主題にはしていかない事にしています。
冤罪を主題にしてしまいますと、ドンを刑務所内に拘留した状態のまま、FEDXFがいつまでも弁護士費用を支払い続けながら、裁判所で有罪・無罪を争う事になってしまうからです。 これではお金が幾らあっても足りません。
しかしドンを先ず仮釈放でシャバに出してしまいさえすれば、ドン本人は医者である事に加え、今では獄中で勉強して弁護士の資格(法曹資格)も持って居るのですから、出所後の自分の裁判費用は自分で稼いでやっていける事になるからです。

ですから今の状態で、皆さんにドンへの援助をお願い出来ることがあるとすれば、これは取りも直さず弁護士費用へのカンパのお願いなのです。


FEDXF(C.O.B.)
JA1AEA鈴木 肇


2001.01.08


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