6.各回路の種類と概要


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1.入力回路
大別すると、π同調方式・ スワンピング抵抗ダンプ方式・ ローパスフィルタ方式及び スワンピング抵抗付π同調
方式の4種類がある。 殆どがπ同調方式で、エイキサイタとのインピーダンスマッチと 歪みを軽減さす フライ
フォイール作用をさせている。 4極管で AB2GK動作をさす場合はパラメータが動く為、スワンピング抵抗付π同
調方式が必須となる。 スワンピング抵抗ダンプ式の代表機種は National NCL-2000、ローパスフィルタ式の代表
機種は JRC-1000、スワンピング抵抗付π同調式の代表機種には ETO91β 等がある。

2. ALC回路
歪み・不要輻射の低減の為にも必須な回路で、(スレッショルド式)入力レベル検出式が殆どであるが運用周波数
に依りレベルが変動する組み合わせがあるので注意が必要。 多極管 AB2級機の自作は至難の技で多極管の
自作はグリッド電流を流さない AB1級、即ちグリッド電流検出型 ALCが必要となる。 グリッド電流検出型 ALCは
SSBには有効に働くが CWには不向きでグリッド電流監視の運用又はレベル検出式との併用が必要である。

3. EBS (エレクトリックバイアス・スイッチ, QSK) 回路
メーカー製では ALPH(=ETO)のお家芸で、目的としては CWのフルブレークイン運用の為と、送信管のスタンバイ
電流損失の軽減の2つがある。 最近流行りのスペトラナ社製 4CX1600Bの AB1級動作のバイアス点でのスタンバイ
電流は Ep=2.5KVで 500mAで スタンバイ損失だけで 1.25KW発生する。 此の損失を抑える為に EBSは有効であ
る。 但し、立ち上がり時の歪みを抑えるのが難しく、自作する場合は常時少しの電流を流す方式が良い。

4.出力回路
πマッチとπ-Lマッチがある。 自作機及び国産機はπマッチが主流で、HENRY・ALPH・AMERITON・CE等の
米国製はπ-Lマッチが主流になっている。 πマッチの利点はπ-Lに比べコイルが1個少なく、負荷側のバリコン
の耐圧が低くて良い。 π-Lマッチは一種のローパスフィルタになっており負荷との整合が取れていれば高調波
抑圧比がπマッチに比べ優れている (実測例で、SWR 1:1で 9dB, 1:1.5で 7dB, 1:2で 2dBの改善が得られている)
負荷側のバリコンはπマッチに比べ1/2の容量で良いが2倍の耐圧が必要。 但し負荷マッチの範囲が若干狭い。
此れらの事から自作する場合はπマッチにし、リニアの後にローパスフィルタを付けるのが一般的である。

5. 平滑回路
自作機・小型機に多用されるコンデンサ インプット(Eo=1.4×Eac)と比較的大形の HENRYが多用しているチョーク
インプット(Eo=0.9×E
ac)がある (但し、100mA以上のブリーダ電流が必要の為大型機向き)。 HENRYは此のチョー
クにコンデンサを並列に接続し、並列共振(fc=2f)させレギュレーションの改善とリップル含有率を低減させている。

6. アクセサリー・保護回路
・ステップ・スタート: ヒータ用(真空管保護)と高圧用(トランスのレアーショート防止)は欲しい (高圧用は必須)
・ブロアー・ファンコントロール: オフディレィ(真空管保護用)は必須、損失と空冷条件を勘案し風量調整したい。
・最近スベトラーナ社が推奨しているスパーク電流抑制用高圧回路挿入抵抗(ALPH-77D: 50Ω/50W):欲しいですね。
・リニア・アンプのメータで、一番必要なのはグリッド電流計です。 付いてると思いますが見てますか OM殿! ?